漢方、その種類と効能そして歴史

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漢方薬が慢性化した便秘に効果があるのは相当むかしから知られていますがそんな漢方って知っているようで実はあまり知らないことが多いのではないでしょうか。そんな漢方をちょっと紹介

そもそも漢方とは

漢方は当初紀元前1300年の中国で生まれた医学。

西暦700年に遣隋使や遣唐使を通じて中国から医学書として日本に伝わりました。
江戸時代にはオランダから西洋医学も伝わりだし、中国医学と区別するために西洋医学を蘭学、中国医学を漢方と呼ぶようになりました。

1804年には花岡青洲が世界で初めての手術に麻酔薬として漢方を使用した記録が残っています。現在では約150の処方箋が健康保険の対象となっています。

現在も漢方は中国のものと思っている方も多いと思いますが、実は漢方は日本独自の医学なのです。

こう書くとうそだ〜という人がいるかもしれませんがほんとです。(^^♪

上でも書きましたが、中国から来たのは事実ですがそこから日本独自の発展を遂げ現在に至っています。その証拠に中国では漢方といわれる医学は存在しないそうです。

漢方医学の3本の柱

漢方は3本の柱からなっており薬物療法、鍼灸、養生を主体として成り立っています。薬物療法はその名のとおり、漢方薬です。鍼灸はツボのところでも出てきましたが、経穴や経路といった漢方独特の療法です。

そして養生は
前の2つはすでに病気になっておりそれを治癒する目的で生み出された手法ですが養生は病気になる前、まだ健康そうな時(未病)に行うことで病気になることを未然に防ぐ手法としてなりっています。具体的には、食事、休養、ストレス、生活リズム等、人が生活するうえで障害となりそうなことが主体です。

未病って
上記でも書きましたが、健康で調子がいいときから病気が重篤になってしまうまでの体調の変化時期をいいます。

ちょっと話はそれますが、犯罪と病気って意外と似ていて昔は犯罪が起きてからでないと警察は事件として捜査を開始しませんでした。しかし今は事件を未然に防ぐという目的で防犯として警察も警備や相談を受けています。

漢方もこれと似ていて、病気になってからだと体力や気力の回復に時間がかかり、本人も大変です、病気の症状が重篤になる前に対処できれば体力の回復も早くなるため患者自身の負担も軽減されます。未病はそういった意味でも重要な時期であり漢方はこの未病の時期に対処できる仕様となっています。これを説いた人が下記に記す曲直瀬道三だといわれています。

漢方薬の種類

漢方薬には、その作り方によって5種類に分類されます

①湯剤(煎じ薬)
複数の生薬を薬研等で刻み土瓶等で煮だす昔ながらの製法です。
生薬の量と煮だす時間等で症状にあったオーダーメイドな薬をつくることが可能とされています。

②散剤(粉末)
製法のひとつで生薬を粉砕し粉上にしたもの。飲みやすく携帯に便利なところが湯剤とちがうところ。

③丸剤(錠剤)
散剤にはちみつ等を利用して丸く固めたもの。やはり携帯性にすぐれ、散剤と違い口の中の薬の苦味が緩和されます。でも飲みやすさは散剤のほうがよいようです

④軟膏剤(塗り薬)
生薬を半固形状にした外用薬。皮膚などの疾患に塗布するように作られたもの。

⑤エキス財(粒状)
煎じ薬の大衆向けバージョン。煎じ薬みたいな症状にあった処方ではなく大量に製造し一般向けに作成したもの。煎じ薬ほどの薬効をもたないが、一定の効果は期待できます。

名前からわかる種類

例えば「葛根湯」は語尾が「湯」ため湯剤であるとわかります。

また「正露丸」とか「八味地黄丸」は丸剤と名前からわかるよう漢方は工夫されています。

漢方薬の作り方

江戸時代は薬研等をつかって生薬を細く刻んで混ぜたものを土瓶で煎じて使用していたそうで現在は機械で生薬を刻みながら煮だしています。

漢方薬に使用される生薬は基本10種類以下がほとんどですが、江戸幕府の開幕者である徳川家康は漢方オタクでも有名なひとですが、当時平均寿命が50歳といわれた時代に75歳まで生きた方です。その理由として常に質素な生活、食事は一汁一菜を基本とし、将軍としては実に質素な食生活だったそうです。それに常にからだを冷やさないこととし、夏でもつめいたい飲み物や食事は避けていたといわれています。そして長寿にもっとも貢献したのが漢方だとされています。

家康は自分で生薬を配合するほどの漢方オタクだったそうで、今でも残っている家康が調合した漢方薬のなかには58種類の生薬を調合した烏犀円(うさいえん)といわれるものもあるそうです。その知識のもととなったのが「和剤局方」といわれる薬の処方集、教本でした。

当時の武将たちは家康だけでなく名だたる武将のほとんどはある程度の漢方医学を心得ていたといわれています。その理由としていつ起きるともわからない戦において病気で弱ったり、戦で傷ついて弱ったからだを医者に診てもらっている余裕はあまりなかったためとも言われています。そのため自らの体は自分で治すを基本として医学の知識を身に着ける武将も多かったとか。

日本の漢方医学での巨匠といえば曲直瀬道三

曲直瀬道三

戦国時代、家康、秀吉、信長、毛利元就などの著名人だけではなく、一般庶民にも手厚い診療を施したことで知られている超名医。

正直私は知りませんでした。他の方のブログを読むと医学部でもこの方の名前を授業で聞いたことがないとか・・・

だが戦国時代、人の命が容易くなくなる時代においていかに人を助けられるかを主眼におき、その手法として漢方を実践してきた人だとされています。

また、後世に様々な著書(啓迪集、薬性能毒、百腹図説、正心集、指南鍼灸集、等々を残し、医学に貢献されたことでも有名。

そんな曲直瀬道三も上記で記した「和剤局方」を採用されていたそうで、患者一人一人の証(しょう)を見極め適切な生薬を処方したそうです。

多くの庶民を助けた道三の噂は世に広まり、天下人の診療もすることになったとか・・・。

また、道三は病気になった患者だけではなく未病の状態の人や健常な人へも日ごろの不摂生をしない養生(現在でいう健康管理)を世に広めた人でもあります。毛利輝元(元就の孫)に養生を俳句の形で記した「養生俳諧」は有名。

漢方薬の効能

人が生きる上で支障となるほとんどの病気に効果が期待できます。

呼吸器系
風邪やインフルエンザの伴う咳、痰

消化器系
胃、腸の不調、便秘、下痢等

精神系
心身症。自律神経失調症、不眠、神経症等

生活習慣病
高血圧、糖尿病、肝炎等

女性特有の病気
冷え性、生理痛、生理不順、等

痛み
腰痛、神経痛、リウマチ、頭痛等

手術後
体力増強、免疫力復活、頻尿、貧血

老化
認知症、前立腺肥大、足腰の衰え

更年期
発汗、動悸、めまい。焦燥感、イラつき

アレルギー
花粉症、鼻炎、気管支炎、湿疹

等々
実は西洋医学では回復があまり見込めない原因不明の病気についても漢方薬は威力を発揮することが多いのだそうです。また西洋医学は病気そのものに対する処方を目的としそれを取り除くことで患者を治すことを基本としているのに対し、漢方医学は人が元来もっている自然治癒力を復活させ自然的に回復させることを目的として行われているところで根本から手法、思想がちがいます。

漢方薬の効果を得るにはまず自分の体質、体調を知ることが重要

漢方では体調や体質、そして病気の症状を把握する指標として虚実、感熱、気血水等から証、いわゆる現在の症状を決めていく。

虚実とは
患者の体形、年齢、体力を現し、筋肉質や頑丈そうな場合を実証(陽)、やせ形、虚弱体質な場合は虚証(陰)として見る

感熱とは
患者自身が熱く感じているか、寒く(悪寒がはしるなんてことばもここから)感じているかを見る

気血水とは
気とは人が元来もっている気力、生きるためのエネルギー源

血とは読んで字のまま、血液のこと。血液が体中を循環しなければ、内臓等体の部位が正常に働かないどころか、機能不全として死んでしまう。血液はただ血というだけではなく、栄養分、酸素等人が必要とする養分を運んだり老廃物を運ぶ経路でもあります。

水とは
体の中における血液以外の体液をいいます。尿や汗、唾液、など人が生きるために必要な水分のバランスを調整するために必要とされるもの。

漢方薬はオーダーメイド

西洋医学ではそのときの症状(病名)が同じ症状なら基本同じ処方箋となりますが、漢方の場合は、症状が同じ(病名)でも体調や体質(これを虚実という)が異なれば違い漢方処方になります。これを「同病異治」といいます。

また西洋医学では違う症状(病名)でも同じ漢方処方がされることがあります。これを「異病同治」といいます。
このあたりが西洋医学と異なるところでしょうか。

漢方薬も副作用がある

漢方薬は副作用がないとよく言われますが漢方薬も薬なため、処方を誤れば効き目がないばかりではなく、人に害も与えます。自分で判断が付かない時は漢方医かかかりつけのお医者さんに聞いてみましょう。

漢方薬を入手する方法

①病院で入手

病院で漢方薬を入手する場合は事前に漢方に詳しい医師が在籍しているか確認してから行くようにしましょう。今はインターネットでもその病院がどんな病気のを専門にしているかとか医師の在籍数、専門医の内容等細かく書かれています。そのあたりから見つけるのもよいでしょう。

②薬局、ドラッグストアで入手

市販漢方薬の場合は漢方相談薬局で相談するのが間違いないです。またドラッグストアでも入手可能ですので、薬剤師さんに症状を説明するため、自分の証(虚実、感熱、気血水等)をあらかじめ確認しておくとよいでしょう。

お役立ち情報

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